全国葛製造協会

全国葛製造業協会

葛との良い関係

・和菓子 「虎屋」    ・洋菓子 「フランス菓子 16区」

和菓子 「虎屋」

とらや赤坂本店

東京都港区赤坂4-9-22
TEL 03-3408-4121
http://www.toraya-group.co.jp/

和菓子 虎屋
 

羊羹に代表される、和菓子の老舗として知られる虎屋は、室町時代に京都で創業し、長らく御所の御用をつとめています。明治2年の明治天皇の東京遷都に伴って、東京店を開設し、現在でも宮内庁や賢所には、毎月お菓子をお納めしています。赤坂御用地に近い東京工場では、毎日、首都圏の直営店で販売される生菓子が、職人さんたちの手によって作られています。三千種あるといわれる和菓子の中から、四季折々の自然と季節感あふれる美しい日本の風情を表現した生菓子が、毎月2回、半月ごとに種類を変えて店頭に並びます。
夏になると、葛を使った涼しげな生菓子が多くなります。葛のもつ透明感あふれる美しさ、口に入れたときの弾力のあるプルプルとした感触などが暑い時期に好まれるからです。
葛粉は古来より、穀物の乏しい山間地方で米や麦の代用とされ、食されてきましたが、鎌倉〜室町時代、葛切の前身と考えられている「水繊(すいせん)」が中国から伝えられました。以降、葛饅頭、葛焼、葛切など、葛粉が菓子材料として多用されていったと考えられます。それが黄と白の短冊状であったため、水仙の花の色を思わせるとして、虎屋では、葛製の多くは、菓銘に「水仙」の名が冠せられるようになりました。虎屋所蔵の資料によりますと、安永9年(1780)「仙洞御所御用扣帳」の天明元年(1781)7月23日の項に「水仙粽」という菓銘が初めて登場します。
現在、虎屋では、葛粉を主として夏用の生菓子を中心に、栗蒸羊羹、葛切等の材料に用いられています。

水仙水藻の花

・水仙水藻の花(すいせんみずものはな) 左上
緑餡を葛製の生地で包みを、清流にゆらめく藻の花に見立てた、涼しげなお菓子です。

・初螢(はつぼたる) 右上
その夏初めて現れた螢を「初螢」といいます。黄餡を葛生地で包み、淡い光を放ち、水辺を飛び交う螢を表現しました。詩情豊かな、夏にふさわしいお菓子です。

 

「葛は、清涼感をあらわす夏の和菓子作りに欠かせない素材です。砂糖や餡等と馴染みやすく、他の素材の良さを引き立ててくれます。」
と語るのは、四十年近く菓子作りにたずさわる菓子職人の山本静さん。
葛菓子作りは、まず葛粉と白双糖を煮溶かし、熱湯を加え葛を返し、透明に煉り上げていきます。葛は一度形を整えると崩れにくく、色々な趣向を凝らした形を表現できます。冷めると表情を変えてしまうので、職人さん達が熱さと格闘しながら、手にとった葛生地を手際よく、形を整えていきます。夏場に熱さに耐えながら、涼の意匠を凝らした葛菓子を作られるというのは、非常に面白いところです。
「手早く、正確に作業する事が大事です。お菓子の種類によって、固さを変えたりするので、お湯の量や入れるタイミング、煉りあげる時間や力加減が違ってきます。」
最終的な判断は、職人の経験と勘に拠るといいます。和菓子の世界も、職人は先輩の技を真似することから始まります。技を身につけ、同時に心も受け継いでいく。そのようにして、伝統の和菓子は次世代に受け継がれてきました。
和菓子は五感の芸術といわれます。日本の四季を思い起こさせる姿、菓銘の響き、ほのかな香り、口に入れた時の感触、豊かな味わい。それぞれの繊細な感覚が重なり合って、私たち日本人の食文化をより豊かで、奥深いものにしてくれます。

 

  

 

   

 

洋菓子 「フランス菓子 16区」

フランス菓子16区

福岡市中央区薬院4-20-10
TEL 092-531-3011
http://www.16ku.jp/

洋菓子 フランス菓子16区
 

閑静な住宅街に建つ「フランス菓子16区」のビル。
明るく清潔な店内のショーケースの奥はガラス張りで、全国から修行にやってきたパティシエたちの先頭に立って指揮するのが元ラガーマンのオーナーシェフ・三嶋隆夫社長だ。  三嶋社長が試作半年をへて、葛粉を使い始めたのは2004年4月。
「BSEや残留農薬の問題、消費者の自然志向、健康志向は、洋菓子業界も無縁ではない。当社が使ってきたゼラチンはドイツ製で、どんなに安全を訴えても消費者の不安はぬぐえなかった。信頼できる地元の安全な自然食材を使うことは大きな課題だったから、葛(葛粉)との出会いは実にタイムリーだったよ」と三嶋社長は語る。
最初に使ってみたのは“カシス”。当時は葛粉の凝固力やpH、他の素材との相性がどの程度なのか分からず、水や牛乳との配合割合、火を入れたり冷ましたり、というプロセスを何度も試したという。試作品ができあがってみると、口どけがよく、口もちがいい。食材としての葛の素晴らしさ、可能性を確信した。
マロンパイのクリーム部分にも使うことにした。マロンパイは「16区」の主力商品だが、100個焼くと4〜5個は爆発していた。葛粉を使うと試作段階でロス率はほぼゼロとなった。「16区」では一日約2500個のマロンパイを焼く。ロス率ゼロは、正に驚異的な数字だったのである。

洋菓子 「フランス菓子16区」マロンパイ

 

 「葛粉には脂を引き止めておく力があるからだと思う。それに、パイの内と外の境目はグチャグチャになりやすいのだが、サクッとくるね。食べてやわらかいし、おいしい。いったん形になれば常温でもへたらない。シフォンケーキで使うと、巣立ちがよく、ウキがきれいに浮いて、全体がふんわり仕上がる。葛粉には保湿力もあるからだろう。マドレーヌやシフォンでは小麦粉の一部を葛粉に置き換え、ふるい合わせて使っているが、ふくれがよくなったね。若干、手間がかかると言えなくもないが、習性にしてしまえばどうということはない。私たちパティシエは自分たちの都合で仕事をしているわけじゃない。お客さまに喜んでいただくための仕事だからね」
葛が洋菓子の材料になるなど考えたこともなかったという三嶋社長。いまは、葛粉のパワーに大満足している。
「時代の変化につれて食材も変わる。今後も安全でナチュラルな食材で洋菓子の質感とおいしさをレベルアップしていきたい」と目を輝かす三嶋社長だ。

洋菓子 フランス菓子16区 

  

 

   

 


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